Installation kaguya

One Sixth

立岩農園

蛙さんが気づかせてくれたこと

蛙さんが気づかせてくれたこと

出会い

撮影:s-miki

約10年前、知人が京都に出かけ、用事を済ませた帰り際に土砂降りの大雨に出くわし、帰るにかえられず雨宿りをしていたとこころ、珠寳先生も用事でたまたまそこに来られたそう。雨がおさまるのを待っている間、いろんなお話された中で、花留に藁を使うことを聞いた知人が私を紹介してくれました。
「では、一度京都においでませんか」のお言葉に、数日後、藁を持って珠寳先生を訪ねました。その時が、珠寳先生との初めての出会いです。

その日はちょうどお稽古の日で、いろいろ見学させていただき説明していただきました。
持参した藁の包みをひろげ、珠寳先生に手に取っていただく。
「良い氣がはいっている。きれい」とおっしゃっていただきました。
それ以後、お献花やお稽古で使用する藁を毎年、奉納させていただくようになりました。

それは一匹のかえるが気づかせてくれたこと

話は少し遡りまして、今から15年前頃、夏に差し掛かる良く晴れた日。いつものように畦道の草刈をしていると、突然、草の中から飛び出してきた手のひらほどの蛙。避けようにも間に合わず、草刈機の刃に巻かれてぐちゃぐちゃに。なぜかその時は草刈の手が止まってしまい、ぐちゃぐちゃになった蛙を見つめていました。その時、瞬間的に頭の中でいろいろな事や思いが湧きたつような、突然閃くかのような、いろんなことを同時に思い出すような、とても不思議な時間が自分の中に流れました。

「カエルさん ほんまに ごめん」
「いままで ぜんぜんわかってなかった」
「あんたらが おってくれたから うちらがおってんやわ もっとはように 気づいてあげれんかって ごめん」

私はカエルさんにそう言いました。

撮影:s-miki

そう、このたくさんのさまざまな命がある御蔭で、森や山が出来て、川ができて、土もできるからこそ私たちは自然界の営みの中で米を作り、水を飲み生きてこられた。着ているものもそう、住んでいる家もそう。

今ここに私自身の命があるのは、先祖代々から命を托してくれたから。
そしてその命の托されていくのを根底で支えてくれていたカエルさんたちが居てくれたからこそ、自分は今を生きていることができている。
この命は決して計ることができないぐらい膨大な命の基にあるのだと。
カエルさんが気づかせてくれました。

申し訳ない気持ちや今を生きられている事への感謝の気持ちに、一人、畦道で泣いていました。
農業を通じ、これらのことを伝えて行こうと心に決めた瞬間でもありました。
それからはやみくもに収量を追うのではなく、少しでも環境への負担や影響が減らせる農業へと転換しているところです。
自然の仕組みを旨く使い、生態系に偏りが大きく出てしまわないような栽培をすれば、殺虫剤や殺菌剤などの農薬を使わずに済みます。

コミ藁用の「花士(はなのふ)の田」では、必要以上に獲ろうとせず、必要なお米だけ、必要な藁だけ、いただければそれで良いと考えているので、無農薬・無化学肥料での栽培を続けられています。ただ、天候が毎年違うので加減は難しいです。

コミ藁づくり

撮影:宮本敏明

一本ずつ藁から葉鞘を外し、綺麗にしていきます。それらを適量ずつ揃え、小さな束をつくり、切りそろえます。籾がついていた枝の部分はきれいに束ねて、手箒が作られます。これらの工程で出た葉鞘や藁くずは、持ち帰り田に戻し肥やしにします。

次に小さい束を寒い時期に水にさらし、あくがぬけるまで適度に水をかえます。その後、干して、よく乾燥させます。花器の大きさに合わせ、小束を切り整え、それらを揃え束ねたものがコミ藁となります。

私はコミ藁を初めて見た時、その手間暇をかけられて、ここまで整えられた姿に美しさを感じました。余すことなく丁寧に扱われていく藁をみると、生産した者として嬉しくも思いました。自分でコミ藁をつくり、花をたてたときの感動を今でも覚えています。硬すぎもせず、柔らかすぎもせず、良い具合に花が気持ちよく留まります。畑の土に挿しているような感じに近いと思いました。まるで野に生えていた時の様に留まるこのコミ藁は、室町時代にその始まりがあったとお聞きし、そんな昔からよく考えられていたのだと驚きました。

痛まぬよう丁寧に使い、適切に取り扱えば数年使えますし、使い終わったものは田に戻し肥やしにすれば捨てるところが全くないのです。

珠寳先生に教えていただいたこと

撮影:宮本敏明

お稽古やお献花にも参加させていただくようになり、珠寳先生のいけばなに向かうお姿には所作や立ち居振る舞いなどに始まり、普段の生活においてとても役に立ち、勉強になることが多いです。

お花をする前には、お清めの掃除から始まります。お清めをしながら、呼吸、今日のお花の目的とするところ、空間、己を整えていきます。刃物や道具を揃え、花器にコミ藁を仕込み、花材を用意します。心が整ってから一礼し、花をたてていきます。

お花をすると、お清めの仕方にはじまり、刃物や道具の取り扱い方、コミ藁の整え具合、花の触り方、鋏の入れ方や整え具合、出来上がりの花、後片付けをして帰るまでに、その時、その瞬間の自身の心の在りようがいろんなところに現れてくるように思います。

今、自分がどちらを向いているのか。
私にとってお花は、自分の在り方を映し出し正す良いお稽古にもなっています。

お花においても、農業においても、目には見えない処やもの、見えなくなる部分の大切さ。そして、カエルさんたちのようなお陰様が、常にあることの日々の当り前さに、忘れることなく、感謝を持って、これからも農業に取り組んでまいります。

うえさい

岩淵神社にて、宮司によるお祓いからはじまる御田植祭。
やわらかな風が、大楠の葉をゆっくりと揺らし立つ音の中、祝詞が読み上げられる。
結界を張り、清められていく『花士の田』。
横一列に並び、苗を一つ、またひとつと水田にさしていく。
水田に立つ苗の姿は自然界と私たちを結んでくれているよう。
夏の日照り、雨、風、雷を受け、やがて実りを迎える。

撮影:s-miki

ぬきさい

神様に実りを授かるまでに掛かった、自然界のありとあらゆる恩恵とこれまでの農作業を、事故も怪我もなく、無事に終えられたことに感謝し。
これからの収穫の作業が終わるまでの無事をお願いする。
そして良く実った稲を二株、祭壇にお供えする。
この祭典を終えるといよいよ稲刈りです。

私は若い頃、動物として、とでもいいましょうか、生き物としての本能的な危険や恐怖を自然界で起こる、いろいろな事象に対して感じたことがありました。雨支度が間に合わず、台風が接近しているなか片付けをしていると、暴風になすすべなく吹き飛ばされた時や、今までに聞いたこともないすさまじい音と共に降る、豪雨にうたれた時。猪が自分の近くを走り抜けていった時もとても怖い思いをしました。
今では台風が来た時などは、危険を感じる前に、安全なところに避難しております。

人の力では到底どうすることもできないものや、種が芽吹いたり、花が咲いたり、朽ち果てたり、自然界で様々な事象を起こしている力、人智をはるか超えた領域のもの、自然界の摂理、目には見えない力。自分は、これらを総じて、神様と呼んでいます。

私はその都度都度に、神社や神棚にお参りすることで、それら自然界の大きな力の前に、自分ひとりの力はとてつもなく小さなものだと再確認しているのだと思います。
そしてそれは、日々、無限にいただいている自然界からの恩恵に、おごりを持つことなく、それらすべてのものに対しての畏怖の念と、それらすべての基に今があることへの感謝を忘れないためであります。

経営理念

撮影:s-miki

私たちは、自然界からの恩恵の基に、生かされている事を理解し感謝いたします。心の豊かさを育み、感動できる価値を創造しつづけます。

自然界のありとあらゆるものが複雑に繋がりあうことで、私達人間が生きて行く上において必要なものである、空気や水、食べ物などを産み出してくれています。 命に結びつく様々な自然界からの恩恵を知り、幾代を経て托されたこの命と、それ らに関わる多くの命の深さを感じ想うことから、豊かな心を育んでいくことができます。 また心の成長において、文化から与えられる要素は、重要であると考えます。より 豊かな心をもって、文化を継承し発展させ、よりよき文化から更なる心の豊かさを育み高める流れをより一層創っていかなければなりません。 愛に溢れる豊かな世界への発展に貢献いたします。

株式会社立岩農園 代表取締役 立岩視康

トークショー

2018年1月28日(日)14時─
会場:梅田 蔦屋書店
住所:大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア イーレ9F

花士 珠寳 × 西畠清順(そら植物園)
司会:立岩視康(立岩農園)

タイトル:目に見えないもの「土地と植物」

昨年末に「世界一のクリスマスツリープロジェクト」を発表したプラントハンター・西畠清順さん、草木に仕える花士(はなのふ)として、大自然や神仏、時、ひと、場所に花を献ずるなど、花をすることを続けている珠寳さん。珠寳さんが「かぐや姫」として登場した企画「Installation kaguya」のアートボックス刊行を記念して、トークイベントとサイン会を開催します。
Installation kaguyaでの花材は、どのようなイメージを持って揃えたのか。珠寳さんは西畠さんから届けられた植物をどのように感じ、お献花されたのか。普段、お二人が土地や自然とどのように向き合っているかを通して、実際の土地のこと、自然の実情を交え、作品が完成するまでを語っていただきます。

お申込み・お問合せ:梅田 蔦屋書店
http://real.tsite.jp/umeda/event/2018/01/post-467.html

Installation kaguya: One Sixth(解体新書)

解体新書では証拠として収められた写真や開発関係者の証言とともに、あの日の出来事と現代に蘇らせたお伽話をお届けします。
一葉の作品の中にあるイメージと言葉の様態、マテリアル、音楽で世界観を表しました。竹取物語と共に地球と月を旅する装置としてご鑑賞いただけたら幸いです。エディションはSilver Moon、Full Moonの2バージョンを刊行いたします。

解体新書|仕様
エディションはSilver Moon・Full Moonの2バージョン。
※それぞれ同梱物はジャケットの違いのみにより、文章・写真・音楽など収録内容は同じです。

Box サイズ:H35mm×W173mm×D217mm
[貼り箱に箔押し加工/トレーシングカバー付]
Assembly sheet 同梱内容一覧を記載
Book 1 竹取物語(地球:重力=1)
作品コンセプト/パビリオン図面/模型写真/設営風景/
竹取物語 墨絵/かぐや姫降臨風景/開発関係者寄稿文
[全80p/和綴じ製本]
Book 2 始まりも終わりもない/∞(月:重力=1/6)
座談会:花士 珠寳×長艸敏明(衣装)×長艸純恵(衣装)
対談:花士 珠寳×來住尚彦[アートフェア東京 エグゼクティブ・プロデューサー]
[全60p/両開きダブルA面ジャケット/ミシン綴じ製本/衣装カバー付]
CD 35min.47sec.(12 tracks)
Sound Produced by O.N.O[THA BLUE HERB]
マテリアル 虎斑竹[竹虎] ※自然素材のため個体差があります

価格 10,000+税 ※Silver Moon・Full Moon、各エディション共に
発行所 ratio( )

実店舗販売
蔦屋書店
代官山 蔦屋書店 | 京都岡崎 蔦屋書店 | 梅田 蔦屋書店

オンライン販売

Silver Moon -> Amazon
Full Moon -> Amazon

Schedule



代官山 蔦屋書店
2018年1月11日[木]~31日[水]
完成させた解体新書[Installation kaguya: One Sixth]と共に、花士 珠寳(しゅほう)氏が使用するこみ藁を展示。こみ藁展示では花留めの細部を、田植え〜収穫〜こみ藁作り〜花留めの流れで解説。またパビリオン・マテリアル(虎斑竹)も展示し、日本唯一の模様からミラクルバンブーと呼ばれる虎斑竹の魅力を質感と共にお伝えします。
-
会場 代官山 蔦屋書店[2号館1F 建築デザインフロア]
住所 東京都渋谷区猿楽町17-5
営業時間 7:00〜26:00
展示 Installation kaguya: One Sixth、こみ藁、パビリオン・マテリアル(虎斑竹)

HP http://real.tsite.jp/daikanyama/

京都岡崎 蔦屋書店
2018年1月11日[木]~2月12日[月・祝]
完成させた解体新書[Installation kaguya: One Sixth]と共に、花士 珠寳(しゅほう)氏が使用するこみ藁と道具を展示。こみ藁展示では花留めの細部を、田植え〜収穫〜こみ藁作り〜花留めの流れで解説。また、普段間近で観ることのできない珠寳氏自身の道具を併せて展示。パビリオン・マテリアル(虎斑竹)も展示し、日本唯一の模様からミラクルバンブーと呼ばれる虎斑竹の魅力を質感と共にお伝えします。
-
会場 京都岡崎 蔦屋書店[ギャラリーEN & ON JAPANコーナー]
住所 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13 ロームシアター京都 パークプラザ1階
営業時間 8:00〜22:00
展示 Installation kaguya: One Sixth、こみ藁、道具(花士 珠寳)、パビリオン・マテリアル(虎斑竹)
映像 Installation kaguya
同時開催 企画「ON JAPAN」
HP http://real.tsite.jp/kyoto-okazaki/

梅田 蔦屋書店
2018年1月10日[水]~31日[水]
完成させた解体新書[Installation kaguya: One Sixth]と共に、花士 珠寳(しゅほう)氏が使用するこみ藁を展示。こみ藁展示では花留めの細部を、田植え〜収穫〜こみ藁作り〜花留めの流れで解説。パビリオン・マテリアル(虎斑竹)も展示し、日本唯一の模様からミラクルバンブーと呼ばれる虎斑竹の魅力を質感と共にお伝えします。同時開催される企画「語り継ぎたい日本の美」、増浦行仁「神の宮」写真展と合わせお楽しみください。
-
会場 梅田 蔦屋書店[ショールーム]
住所 大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア イーレ9F
営業時間 7:00〜23:00
展示 Installation kaguya: One Sixth、こみ藁、パビリオン・マテリアル(虎斑竹)
店内音楽 O.N.O[THA BLUE HERB]
同時開催 企画「語り継ぎたい日本の美」、増浦行仁「神の宮」写真展
HP http://real.tsite.jp/umeda/

各店では実際のコミ藁を展示します。